医療モノでは異色の「放射線科」の若き技師のストーリーです。メス捌きに突出した医師の話しでもなく、病院内の権謀術数でもない新しいタイプの医療ドラマの誕生ですよ!
この『ラジエーションハウス』は現在、「グランドジャンプ」(集英社)で連載中の人気漫画の主人公を月9枠(月曜日21:00~のドラマ。フジテレビ)初主演の窪田正孝が体当たりで演じています。
「写真から見えてくる真実」を、このドラマで一緒に見てみようじゃありませんか!!
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『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート』のあらすじネタバレ
1997年の“淡い約束”を果たしにきた青年技師
時は1997年、五十嵐唯織(窪田正孝)が7歳の頃。小学校の同級生にいじめられていたところを甘春 杏(本田 翼)に助けられました。回想シーンですので詳細は分かりませんが二人は仲がよく、ある日の放課後に杏が将来の夢を語りだします。
「私、将来は立派なお医者さんになってパパの手助けをしたいの」
その時に唯織も「僕もお医者さんになるよ」と言いましたが、「お医者さんには優秀なカメラマンが必要なんだって。だから唯織クンはカメラマンになって」。
こうして唯織は、引越して杏と離れ離れになった後もその夢を持ち続けて、放射線技師(のちの病院長のセリフから、医師免許も取得している事が判明)になったのでした。
それも、米学会の放射線治療の権威に認められる程の腕前を持つ放射線科のドクターに成長していたのです。
その唯織が遂に夢を叶える日が来ました。杏が勤務医として働く、実家の甘春総合病院に採用されたのでした。
その前日の夜、緊張して杏の事を河川敷の公園のベンチで考え耽っていた唯織。ふと隣に目を向けると、見ず知らずの壮年男性が三脚を立ててカメラをセットしだしています。
その男性はプロのカメラマンで「星の写真を撮ってる」と言っています。彼は頭痛を訴えていたので「必ず病院で検査してくださいよ」と言い残して唯織は帰宅しました。
出勤初日から急患に出くわして…1
緊張と胸の高鳴りを乗せて、唯織は初出勤のためバスに乗っていました。同じバスには同日入社の新卒放射線技師の広瀬裕乃(広瀬アリス)も乗っていました。
ところがそのバスの運転手・天野(春海四方)の様子が微妙におかしい事に唯織だけが気づきました。
「誰か救急車を呼んでください」
救急隊員に「血管造影の施設がある病院に搬送してすぐに検査をしてください。脳梗塞になる恐れがあります」と伝えました。
119番した裕乃が救急車に同乗、バスは代わりの運転手が運行して事なきを得ました。ただ、唯織は置き去りにされてしまい、新人二人は初日から遅刻でしたが…。
出勤初日から急患に出くわして…2
裕乃の同乗した救急車は、甘春総合病院まで天野を搬送して検査をする事に。
新人の裕乃はやる事も分からないので、放射線科に顔を出します。そこには技師長の小野寺敏夫(遠藤憲一)、お局的存在の黒羽たまき(山口紗弥加)、軒下吾郎(浜野謙太)、威能 圭(丸山智己)、悠木 倫(矢野聖人)らの疲弊顔のメンバーが興味なさそうに裕乃を出迎えました。そこに唯織も合流します。
さらに、鏑木安富放射線科長兼診療部長(浅野和之)と病院長の大森 渚(和久井映見)が順繰りに様子を見にきます。特に病院長は自分の推しで採用した唯織が気になっていたのでした。
「病院長の隠し子なんじゃないの?」と陰口を叩く者がいるくらいの人事だったのです。しかし、真相は米国の学会での唯織を発言を直接聞いて、その実力を見抜いていたに他ならなかったのです。
そうした“お偉いサン”おお目通りも済むと、今度は放射線科医の杏がカンファレンスの確認に来ました。唯織は杏に先ほど自己紹介した際に「覚えていませんけど」と冷たく扱われたので再度自己紹介して7才の頃に取った杏の写真を見せました。
それでも杏は思い出さないどころか「変な事ばかり言うと警察を呼びますよ!」と強く強~く言われてしまったのでした。
と、そこに救急搬送の連絡が入ります。「道端で倒れている人がいる」との事です。
運ばれてきた男性を見ると、ゆうべ唯織と公園で話しをした「星の写真のカメラマン」ではありませんか!
調べてみると世界的に有名なカメラマン・菊島 享(イッセー尾形)でした。
相変わらず頭痛を訴えているので頭部MRI検査(磁石と電磁波で断面像として描写する)をしてみると、画像の左半分が黒くなり欠損している状態でした。
MRIの不鮮明部を解析して頭痛の正体を解明!
菊島の頭部MRI検査の画像が写らない原因は口か頭部に金属片があるためと思われました。そのためには、血管造影の検査をしなければ位置がつかめないのですが菊島は造影剤アレルギーのため、その方法は使えません。リスクを冒して造影検査をすると最悪は“死亡”の可能性もあります。
マスコミが菊島の入院を嗅ぎつけた以上、リスクを冒して「病院の評判を落とすわけにはいかない」と鏑木は転院をさせようとしました。杏は転院先の大学病院までの移動時間からして「危険な状態で無理です」と反対しました。
そんな会議の最中に菊島は全身を痙攣させて、意識不明の状態に陥ってしまいました。もう、転院させている時間はありません。
「全ての責任は私が取ります」
杏はリスクを承知で、血管造影の検査を強行する事に。
一方、唯織は院長が湿布を貼る時にセロファンを剥がす仕草からヒントを感じ取りました。
通常、MRI検査をする時に「湿布のセロファンのように、実際には使われなくてもフィルターの役目をしているデータが残っている」と気づいて進言しました。
そのデータをつなぎ合わせていけば、「菊島さんの頭部MRIも見られるはず」と。
この言葉を信じた小野寺技師長をはじめとした放射線科のメンバーは、杏が造影剤を注入するのを人為的に引き伸ばして、唯織の解析にかけました。
技師として検査室に入っている軒下の時間稼ぎが限界と思われた瞬間、唯織の計算も終わり画像を放射線科全員で解析します。
伊織は裕乃に
「菊島さんの病室にある写真集を持ってきて。急いで!」
と指示を出しました。
そして造影剤注入をとめます。唯織は菊島が毎年ボリビアに撮影に行く事を思い出して、写真集を見て確認・確信したのでした。
「頭痛の原因は寄生虫です。ボリビアで食べた蟹が原因です」
これで造影剤投入はストップして、リスクを回避したのでした。唯織が杏に掲げて見せた写真集にはボリビアの市場で蟹を食べる菊島が写っていたのです。
かくして危機を逃れた菊島は、投薬治療に切り替えて笑顔で退院。病院の出入り口の先には疎遠になっていた娘さんが待っていたのでした。
同じ頃、まだ入院中ながら院内を元気に歩くバス運転手の天野の姿も。すれ違った医師に「おかげさまで大事に至らなくて済みました。この病院に運ばれて良かったです」と感謝の意を伝えていました。
『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』第1話の感想・今後の期待
原作はあるものの、放射線技師にスポットを当てたという点が斬新でいいですよね。筆者も定期的にCTやMRIの検査を受けているので“身につまされる”というか“あるある”を感じて複雑な心境です(笑)。
今話では唯織の解析によって菊島を救ったわけですが、初回でもあるわけだし、人物紹介も兼ねて「もっともっと大袈裟に活躍を描いても良かったのではないかな」と感じましたよ。
先代病院長の杏の亡父と現病院長で夫人(であるはず)の苗字が異なるのも気になりました。今後、甘春家の“家庭の事情”も明らかになっていくかと思うと楽しみです。
同じように、「本当に杏は唯織を覚えていないのか?」という点も気になるところですね。